たとえどんなに。
私のほほを伝った涙がぽつぽつと

手に持った本に落ちてシミを作る。

「梢、笑って。」

ひやっとしたほほ。

亜夢の手が触れたほほ。

目の前にはきれいな笑顔を向けた亜夢

亜夢はなんてきれいに笑うんだろう。

母と同じような亜夢

胸まで伸びた髪が軽くカールして

目じりの下がった優しそうな目

童顔な顔。

かわいい亜夢。

私にたくさんの愛を注いでくれた亜夢。

そして、母と同じように

いつも笑ってくれる亜夢。

きれいな笑顔を私たちに向けて

私たちを安心させてくれる。

誰からも愛される彼女。

彼女の笑顔を愛する人たち。

私たちの亜夢。
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