たとえどんなに。
「亜夢、好きだよ。

 俺のこと、好きになってよ・・・」

そう、ひたすらつぶやく潤君。

苦しそうなのに。

私は何もできない。

その悔しさ。

こんな苦しそうな顔をさせているのは

他の誰でもない私・・・

私は、潤君になんて酷いことをしてるんだろ

靖と同じ事。

靖よりも酷いことしてる。

ごめんなさい、潤君。

私は黙ってうつむく。

今にも流れそうな涙を

私は止めるのに必死。

「亜夢・・・」

私を呼ぶ優しい潤君の声。

それと同時に私は潤君の腕の中にいた。

「・・・ちょっ」

「少しだけ。少しだけ・・・」

切なそうな声。

割れものを扱うように

優しく抱きしめる潤君。

私は黙って潤君の腕に抱かれていた。

この人はなんて温かいのだろう。
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