たとえどんなに。
私たちは一周して

薔薇さんのいる本館に戻った。

「薔薇さん、ただいまー」

「「こず、おかえり」」

薔薇さんと・・・?

「この子が亜夢ちゃんかー

 よろしくね。」

そう言って私の手を上下にぶんぶんふる。

かわいい感じの女のひと。

「愛、自己紹介!」

「そうだね。

 はじめまして。大里 愛です」

そう言ってもう一度私の手を握る。

上下に大きくぶんぶん振る。

いたい・・・

それでも笑顔の愛さんに

私も微笑み返した。

その一見ほほえましい光景を見、

薔薇さんは微笑み、

梢は苦笑を浮かべていた。

つらかったこと・・・

靖のことなんて忘れて

私はみんなで笑いあうことができた。

部活という名の私の居場所を失った。

でも、また新しく見つけることができた。

私の居場所を。
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