たとえどんなに。
「陽菜、早くいこー」

そう言って私はまなぶんから聞いたカラオケルームに向かった。

これ以上二人でいると陽菜にあたってしまいそうで。

陽菜を傷つけそうで。

怖かった。

「たっだいまー」

そう言って私はカラオケルームの扉をあけた

私の後ろで小さくなっている陽菜を

私は無理やり部屋に入れた。

盛り上がる4人。

いや、3人。

携帯依存症年を除いて。

相変わらずだな。

携帯ばっかり。

彼女に話しかけにもこないんだ。

私たちは歌いまくった。

美也の超音痴な歌を聴き

笑いまくった。

携帯少年もその時は笑った。

椿君は美也の真似をして。

笑うことができた。

陽菜のことを気にしないで。

私は笑った。

大きな声で歌って。

みんなで騒ぐことができた。

騒ぐことで忘れようとした。

埋めようとした。

靖の穴を。

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