たとえどんなに。
「もう、靖のこと好きなの・・・

 やめなよ・・・」

ある人の名前に私は大きく肩を揺らす。

靖・・・

私がこの夏まで追いかけ、手を伸ばし

頑張ってけれど

無残に断ち切られた人。

私を壊す原因の原因になった人。

私はキレそうな理性を保ちつつ、

萌李にばれないように、彼女をにらむ。

うつむく萌李。

そんな苦しそうな顔をするなら

言わなければいいのに。

そんな顔するなら

最初から壊さなければいいのに。

本当はわかってる。

わかってるんだよ・・・

みんなに悪気がないことも。

みんな、応援してくれてたことも。

ただ、それが

変な方向に傾いてしまっただけ。

それでも、私は・・・

それをみんなのせいにする。

お願いだから

そんな顔しないで。

戻りたい、あの・・・

無邪気に笑い、

人を信じれた夏の始まる前へ
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