たとえどんなに。
「さっきの琴の文の続き。

 ごめんなさい。でしょ?違う?」

「うん・・・」

私が怖いのか、うつ向き気味の琴に

鋭い視線を向ける。

消え入りそうな声で答える琴。

それを見守る萌李。

「何に謝ってるの。

 何に悪いと思ってるの。

 もう、遅い。」

謝られたところで何も変わらない。

「触んないで。

 うざいよ。みんな。」

萌李の手を振り切って私は歩く。

後ろで聞こえる琴のすすり泣く声。

「ごめん。言いすぎたね。」

私は琴に聞こえる声を

歩きながら投げかける。

またか。

結局折れるのは私だ。

傷ついたから・・・

傷つけられたから。

自分が傷つけるのには抵抗がある。

傷つけたいわけじゃないんだけど・・・
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