たとえどんなに。
初めて聞かされた事実に私たちは

感嘆の声をあげた。

『むかつく・・・』

私の中の私がそんな黒い言葉を発する

琴に向けられた鋭い言葉を

私は心の中で闇に消した。

「萌李は?」

「いるよ・・・」

消え入りそうな声で答えた萌李

「でも、無理っぽいんだー」

なんて笑い飛ばすような明るい声

私の心が締め付けられたようにいたい

そして同じぐらい憎い。

なんで琴だけ幸せそうなの?

なんで?なんで?

どうせ、萌李だってそのうち

幸せな顔して笑うんでしょ・・・

だって二人とも美人だもんね!

そうだよ、私は美人でも何でもないよ

きもいって自分でわかってるし。

靖に言われなくても自覚済み。

わかってる。

だけど、悔しい・・・

冷たい水滴が私のほほを伝う
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