たとえどんなに。
練習が終わると、

私は靖のもとへ向かう。

クッキーを渡すため。

靖に無言で差し出す。

靖は目を丸くして私を見る。

まさかくれるとは思っていなかったようだ。

「ありがとう」

思いがけない言葉に私も目を丸くした。

「前はごめん。

 あの答え、今でもいい?」

「ん?」

何のことかわからない私。

「俺と付き合わない?」


そう一言言うと視線をそらした。

嬉しくて嬉しくて。

私は顔が赤くなっていくのがわかった。

「考える・・・」

そう一言告げると私は、

赤い顔を隠そうと靖の前から去った。

他の子たちに袋を渡しにまわる。

「なんかあったの?

 テンション高いねー。」

友達に言われるたびに

現実感が増していく。

かばんの底に残った1つの袋。

そこに書かれた名前は

『海』

私の幼馴染で、バドミントン部の男子部長。
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