たとえどんなに。
海を探しに体育館内に戻る。

柱の向こうで数人の男子の話し声がした。

「ひでーな。」

聞きなれた海の声がする。

「でも、まあ本気じゃねえだろ。」

「当たり前じゃん。

 あんな低レベルに本気とかないし。」

「まあ、亜夢だしな。」

私・・・?

海に声をかけようとした私は、

とっさに柱に体を隠した。

「まあ、多少可愛くなっていたし。

 遊びぐらいにはちょうどいいかと。」

遊び・・・・

それを口にしたのは、

本当に私が好きだった靖なの?

「靖さん、ひどいですねー。

 亜夢さん、普通に可愛いじゃないですか。」

「靖のレベルが高いんだろ。」

そう言って笑いあう男子たち。

そういえば私・・・

これに似た光景を知っている・・・

「七年とか、普通に重いじゃん。」

そう言って笑った靖は、

手の中の袋をゴミ箱に投げた。
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