たとえどんなに。
流れ出てくる感情に飲まれるのが怖くて

私は梢のもとに自転車を飛ばした。

いつものようにソファーで本を読む梢に

私は思い切り抱きついた。

「きゃっ・・」

小さく悲鳴を上げ

私たちはソファーから落ちた。

「どうしたの、亜夢・・・」

そう言って私に視線を向けると

梢は驚いたような顔をした。

白色のスカートのポケットから

ピンクのきれいなハンカチで私のほほをなでた

そこで初めて

私が泣いていることに気がついた。

私がひとしきり泣いた後

梢は私を連れて

ツリーハウスの下のハンモックに腰掛けた。

「どうしたの?」

いつもと同じ優しい瞳を私に向けた。

再び目に涙をためた私に

「私はいつでも亜夢の味方よ。」

優しく声をかけてくれた。

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