【完】好きになれよ、俺のこと。
「ちなみに、後夜祭の花火はね、ジンクスがあるんだよ」
人差し指を立て、まるで先生みたいななっちゃん。
「ジンクス?」
「そっ!
お互いに想い合ってる2人が、一緒にその花火を見ると、幸せになれるんだって!」
なっちゃんは、いつの間にか先生モードをやめて、胸の前で両手を組んで、キラキラ目を輝かせていた。
そういえば前に、他のクラスに彼氏さんがいるって言ってたっけ。
じゃあ、彼氏さんと見たいのかな、その花火。
〝彼氏〟かぁ……。
私にとっては、遠い存在だなぁ……。