【完】好きになれよ、俺のこと。
でも……
どうしていきなり、そんなこと言うの……?
「笑いかけないなんて無理だよ…っ」
柊くんは友達だもん……っ。
すると、安堂くんは小さく息を吐き出した。
「……あぁ、そっか……。
…ごめん、今日は俺、もう帰るわ。
ちょっと、頭冷やさせて」
───え……?
切ない声でそう言った安堂くんに、私は思わず目を見開いた。
どうしてそんなに悲しそうな顔をするの……?
安堂くんは立ちすくむ私の手首から手を離すと、私に背を向けて歩き出した。
いつもの……安堂くんじゃない。