【完】好きになれよ、俺のこと。
「どうして……?
どうして、帰っちゃうの……?」
やっとのことで絞り出した私の言葉に、安堂くんが足を止めた。
「………」
だけど、何も答えてはくれない。
私……嫌われちゃった……?
「…じゃあね」
こちらを見ないまま、手を上げ、また再び歩き出す。
安堂くんが行っちゃう……。
遠ざかって行く背中。
何もできずただ立っているだけで、いいの……?
安堂くんの背中を見送ってるだけで、私は……。
───そんなの、嫌だ。
私はぎゅっと拳を握り締めて、駆け出した。
だって、行ってほしくないって、身体中が叫んでるんだ。