【完】好きになれよ、俺のこと。
「あのさ、その敬語禁止」
「へ?」
またも、安堂くんの思いもしない言葉に目を丸くする。
そういえば、初対面だからって無意識のうちに敬語使ってたかも。
「分かった?」
安堂くんが首を傾げ、下から私の目を覗き込む。
……だからっ、その上目遣いは反則ですっ……////
私はドキドキ鳴り響く鼓動を抑えながら、今出せる精一杯の声で答えた。
「うん……」
すると、安堂くんはニコッと笑った。
「よし。 じゃ、またね」
「ま、またね……っ」
ヒラヒラと手を振る安堂くんの目を直視できず、逃げるようにして教室へと向かう。
廊下を歩きながらも、まだ心臓はバクバク音を立てている。
あんな少しの時間だったのに、心臓がおかしくなっちゃったみたい。
それにしても……
安堂くんは、なんで私なんかとお友達になろうって言ってくれたんだろう……。
謎が多いなぁ、安堂くんって……。