【完】好きになれよ、俺のこと。
───私はひとり、薄暗くなってきた街の中を歩いていた。
向こうに見える横断歩道が青になり、私は歩き出した。
ちょうど横断歩道の真ん中辺りに差し掛かった頃。
───キキーッッッ
突然静寂を切り裂き、すぐ横から車の急ブレーキ音が聞こえた。
……えっ?
その音がした方を振り向いた時にはもう
車が目の前にあった。
……っ!
轢かれる……っ!
そう思うのに、足が地面に張り付いたように動けなくて。
スローモーションのように車が近づき、私の身体は眩しすぎる光に包まれた。
誰か……っ
誰か助けて……!