【完】好きになれよ、俺のこと。
立ち上がって男の子を見上げると目が合って、彼は眩しいくらいの笑顔をこちらに向けた。
「話すの、初めてだよな!
俺は早良 柊(さわら しゅう)。
よろしくな!」
「よ、よろしく、早良くん」
そう言うと、早良くんは笑いながら私の肩をバシッと叩いた。
「堅いよ!
下の名前で呼んで、陽向ちゃん」
えぇ…!
なんだか恐れ多いけど、そう言うなら……!
「しゅ、柊くん……?」
「それそれ!」
そう言って、爽やかに笑う柊くん。
初めて会話するのに、こんなに親しく接してくれるなんて……。
人当たりも良いし、いい人だぁ……!
柊くんはサッカー部なのかな。
サッカーのキーホルダーを付けた大きなエナメルバッグを背負っている。