【完】好きになれよ、俺のこと。
初めて来た屋上は思わず両手を伸ばしてみたくなるほど、開放的だった。
頭上には、雲一つない青空が広がっていて。
まるで、私の気持ちとは正反対だ。
「それで?
陽向、何があったの?」
フェンスにもたれかけ、なっちゃんが真剣な目で私を見た。
それに応えるように私は息を吸い、そして重い口を開いた。
「あのね……、安堂くん、彼女さんがいたんだって……」
「えっ!?」
なっちゃんが目を丸くして、もたれかけていた身体をピンと伸ばした。
なっちゃんが動いたから、ガシャンとフェンスが音を立てる。
なっちゃんも知らなかったんだ……。