【完】好きになれよ、俺のこと。
そして、声が聞こえたんだ───。
耳に飛び込んできたわけじゃない。
何故か胸の中に飛び込んできた声が───。
───え……っ?
私が尻もちをついたのと、鉄骨がガシャガシャンッッ…と無惨な音をたてて地面に落ちたのは同時だった。
あれ……。
私、無事だ……。
っていうか、さっき私のことを押したのって……。
訳が分からず、私は鉄骨が落ちた方に視線を向けた、
───その次の瞬間にはもう
その目は、こぼれんばかりに開かれ
心臓が不協和音を奏でて、暴れ狂っていた。
うそ……でしょ……?
「やだ……やだ……やだ……っ」
だって、
だって……
何本もの鉄骨の下に、安堂くんが倒れていたのだから……。