【完】好きになれよ、俺のこと。
「おい、人が鉄骨の下敷きになったぞ!」
「早く救急車を呼んで!」
周りに集まってきた人達の、そんな叫び声は耳にも入らない───。
「……安堂くんっ……。
やだっ……、やだよっ……。
ねぇ、お願いだから起きてっ。
起きてってばっ……」
だけど、いくら呼んでも安堂くんは反応せず、ただただ血が地面に大きな染みをつくっていくばかりで───。
真っ赤に染まる安堂くんの姿に、いつの間にか浮かんでいた涙がボロボロッと地面に落ちた。
「───安堂くんっ!!」
人混みの中、私の叫び声だけが響き渡った───。