【完】好きになれよ、俺のこと。
病院から姿を現したのは、すっかり元気になった叶翔。
そう。
今日は叶翔の退院日。
叶翔は、目が合うと微笑んだ。
「ただいま、陽向」
そして叶翔は走ってきて、私をぎゅう…っと腕の中に包み込んだ。
叶翔の……温もりだ。
叶翔に負けないくらい、ぎゅーっと強く抱きしめると、叶翔が私の頭を優しく撫でた。
あぁ…叶翔だ……。
その温もりに、じわりと涙が視界を覆う。
私はゆっくりと身体を離して、叶翔の顔を見上げた。
「死んじゃうかと思ったんだよ……」
すると、叶翔は優しく微笑んだ。
「陽向の前から、いなくなるわけねーじゃん。
俺、ずっと陽向のこと待ってたんだから。
それに、告白だって途中だし」
「え……?」
「やっと、言える。
改めて言いたかったんだ、陽向に」