【完】好きになれよ、俺のこと。


突然聞こえた声に振り向くと、そこには叶翔が立っていた。




「叶翔……!」




でもその顔は、いかにも怒ってるっていうのが分かるほど、すっごく不機嫌で。




「あ? なんだおまえ。

関係ねぇ奴は引っ込んでろよ」




お兄さんがそう言い、叶翔に背を向け、また私の手を引いて歩き出そうとした時。




バシッ……




歩き出すよりも先に、お兄さんの手を叶翔が掴んだ。




「俺の彼女に手ぇ出すとか、おまえら死にたいの?

早くその汚い手を離せよ」




「……え、あ、あのっ……」




叶翔の威圧に、さっきまで口の悪かったお兄さんが一変、蚊の鳴くような声を上げた。




だけど……


怯えていたのは、私も一緒で。




だって、だって……


叶翔、こ、怖すぎるよ……!!




叶翔がこんなに怒ってるの、初めて見た…!



< 314 / 417 >

この作品をシェア

pagetop