【完】好きになれよ、俺のこと。
「…来るの、遅くなってごめん」
私はふるふると首を振った。
だって、ここは待ち合わせ場所じゃないもの。
それなのに、叶翔は来てくれた。
こんな場所だし、それに呼んでもいないのに。
「来てくれて嬉しかったよ。
いつも叶翔は私のこと見つけてくれるね」
ヒーローみたいに、いつだってピンチになると見つけ出してくれるんだ。
すると、叶翔がフッと優しく笑った。
「俺、陽向の居場所って、なぜか分かるんだよね。
陽向に、俺専用のGPSかなんかがついてるのかも」
「……っ」
…その笑顔は、ずるいよ……。
叶翔は私を、キュンキュンさせる天才だと思う。
好きって気持ちばっかりが膨らんでく。
でもきっと、この気持ちに上限なんてないんだ。