【完】好きになれよ、俺のこと。
だけど、
「ずっとひなちゃんが好きだった」
その言葉を遮るように、陽向のバッグから俺とお揃いのキーホルダーが落ち、陽向がそれを拾おうと追いかけた。
陽向がしゃがみ込み、キーホルダーを拾い上げたその瞬間、俺の目に飛び込んできたのは、
「……っ!」
陽向の頭上に向かって降ってくる大量の鉄骨。
このままでいたら、陽向は鉄骨の下敷き───……。
「ひなちゃん、危ない……っ!」
気づけば俺は、そう叫んで走りだしていた。