【完】好きになれよ、俺のこと。


『お母さんの方は?』




『……相変わらず。

帰ってなんかこねぇよ』




そして、俺の家族の事情を知っているのも、担任と桜ちゃんだけ。




『そう……。

夜とか大丈夫なの?』




『姉貴が深夜にコンビニのバイト始めたから、夜は最近ずっとひとり』




『ひとりなんて……』




その時、保健室の時計が鳴った。




『あっ、いけない。

もうこんな時間だわ』




突然パタパタとスリッパを鳴らして走りだし、机の上のファイルをまとめ始める桜ちゃん。




『なんか用あるの?』




『職員会議よ、職員会議!

ごめん、行ってくるから、飛鳥さんのこと頼むわね!』




そう言って、桜ちゃんは保健室を出て行った。




相変わらず嵐みたいだな、あの人。



< 346 / 417 >

この作品をシェア

pagetop