【完】好きになれよ、俺のこと。
陽向……。
俺は駆け足気味で陽向に追いつくと、隣を歩いた。
『……』
『……』
優しい静寂の下、きっと、考えていたことは同じだと思う。
不意に
コツンと手の甲が、陽向のそれとぶつかり、
俺は
ゆっくりと
陽向の手を握りしめた。
……やばい。
小さくて柔らかい手の感触に、静寂の中、心臓がドキドキと音を立てる。
でもそれは陽向も一緒で。
だって、繋いだ手からドキドキが伝わってくるんだ。
それがさらに俺の鼓動を加速させて……。
こんなにもドキドキするものだとは知らなかった。
手を繋ぐ、
たったそれだけのことが。