【完】好きになれよ、俺のこと。


『え? なんで……。

帰ったんじゃ……』




立ちすくむ俺の元に、陽向が駆け寄ってきた。




『叶翔くん、傘持ってないかもって思って、待ってたんだよ』




『……え?』




『帰っちゃったかもって思って、焦ったぁー!

でも良かった、まだいてくれて』




陽向は相変わらず笑っていて。




でもその笑顔とは対照的に、喋るたびに吐かれる息は冷え冷えと白いモヤを作る。



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