【完】好きになれよ、俺のこと。
『か、叶翔くん!?』
陽向は強く抱きしめたら壊れてしまいそうなのに、俺は力を緩めることなんてできなかった。
この行き場のない気持ちは、陽向を抱きしめることでしか、消化できない気がしたんだ。
こんなに身体冷えてんじゃん……。
なんで暗くて寒い中、俺のことなんて待ってんだよ……。
なんでそんなに真っ直ぐなんだよ……。
誰かの優しさに触れたのは初めてで。
こんな温かい優しさなんて、俺は知らないんだよ……。
『……ばか。
陽向が風邪引いたら意味ないじゃん……』
『叶翔くん……』