【完】好きになれよ、俺のこと。
誰もいない音楽室で、俺達は向かい合わせで立っていた。
問い詰めるような形で、俯く陽向をじっと見つめる。
『ねぇ、陽向、顔上げて?』
すると、おずおずといった感じで、やっくり顔を上げる陽向。
その顔は不安な色で染まっていて。
『今日の陽向、変だよ。
なんかあった?』
すると、陽向はまた俯き、今にも消え入りそうな声を出した。
『……怖くて……』
『え? 怖い?』
俺、陽向が怖がるようなこと言った覚えないけど……。
いや、もしかしたから気づかないうちにそんな態度を取っちゃったとか?
不安になって陽向に視線を向けると、陽向は顔を上げた。
『……っ』
俺は思わず息を呑んだ。