【完】好きになれよ、俺のこと。
いっぱいに溜まっていた綺麗な涙が、ぽろぽろと陽向の頬を滑り落ちていく。
『でも私……っ、叶翔くんのこと大好きだから……別れたくなくてっ……。
ずっと……一緒にいたいから……っ。
これからも、叶翔くんの彼女でいたいの……っ』
……あんなにも眩しく笑っていた陽向の笑顔を曇らせたのは誰?
誰でもない……俺だ。
俺、最低じゃん。
散々ひどいことして、好きな子泣かせて……。
守りたいものは、たったひとつなのに。
『……陽向、ここで待ってて』
俺は陽向にそう言い残し、音楽室を走り出た。