【完】好きになれよ、俺のこと。
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『陽向!』
走ってきた勢いそのままに、俺は勢い良く音楽室のドアを開けた。
窓際の椅子に座り、こちらを振り返った陽向は案の定、俺の姿を見るなり目を見開いた。
『か、叶翔くん!?
どうしたの、そのほっぺ…!』
陽向が驚くのは無理もない。
俺の左側の頬は赤々と腫れていたから。
俺はその答えを告げるよりも先に、手に持っていた携帯のディスプレイをバッと陽向に向けた。
『これっ』
『え……?』
ディスプレイには、たったひとつ陽向のアドレスだけが表示されている。
『今、許可貰って、他の女達のアドレス消してきた』
『……っ』
その中の数人にビンタされたから頬が腫れてるわけだけど、胸の痛みに比べたら全然痛くなかった。
これは、俺なりのけじめ。