【完】好きになれよ、俺のこと。
『……うっ……』
ポタポタと涙が紙の上に落ち、淡い染みを作る。
それと同時に、今まで胸の奥で疼いていた感情が、ダムが決壊したかのように溢れ出す。
『…陽、向……っ。
……なんで事故になんか遭ってんだよ…っ。
なんで俺のこと忘れてんだよ……っ。
ずっと隣で笑ってろよ……。
ずっと俺のこと好きでいろよ…っ。
俺は……俺は今も、こんなにも好きなんだよ、ばかっ……』
涙なんて流したのは、物心ついてから初めてかもしれない。
なのに、それは止めどなく頬を伝う。
あんなに笑い合ってた日々が
泡のように
一瞬にして何もかもなくなった。
顔を合わせても
叶翔と呼んでくれることも
好きだって言ってくれることも
もうないんだってことが
堪らなく辛くて悲しくて。