【完】好きになれよ、俺のこと。
それは、愛おしい人の声で。
ずっと待っていた
ずっと願っていた。
君がもう一度、俺の名前を呼んでくれることを。
ツー…っと、涙が瞳からこぼれたのが分かった。
「叶翔!? 叶翔!」
もう一度聞こえた声を辿るようにして、俺は瞳を開いた。
まだぼんやりとする瞳に映ったのは、愛しくてたまらない、
「…陽向……」
大好きな陽向が、ベッドに横たわる俺の手を握り、涙を流していた。
「待たせてごめんね……っ。
思い出したよ……っ、全部 ……っ」
あぁ……ほんと?
ほんとに……?
「よ、かった……」
ポロリとまた俺の頬を涙がこぼれ落ちた。