【完】好きになれよ、俺のこと。
なんてタイミング……。
とりあえず早くこの場から立ち去らなきゃ…と、一歩後ずさりした時。
「分かった……。
聞いてくれてありがとう……」
そう言って、女の子がこちらに向かって走ってくる。
ま、まずい……!
見られちゃう……!
盗み聞きをしていたみたいなこの状況に、慌てて壁に身を隠す。
と、隠れた次の瞬間、泣きながら横を走り過ぎる女の子。
わ……。
一瞬しか見えなかったけど、お人形さんみたいに可愛い子だぁ……。
でもあの子は今、告白が叶わなかったわけで。
あんなに可愛い子が振られるなんて……。
私なんか絶対、彼氏できずに卒業だよぉ……。
女の子の走りゆく姿を見ながら、自分の行く先に頭を抱えていると、不意に視界がぼんやりと暗くなった。