紫苑~君に出逢えた奇跡~
第三章

不思議な人

コンビニで出会った人は、何故か周りにいる男子よりクールでどことなく優しい人に見えた。


ー数週間後ー

『……苑、紫苑ってば』

「え?なに?」

『なに?じゃないよ……どうしたの、最近ボーッとして』

「別に何もないよ?」

『私には、そうは思えないけどね……心ここにあらずって感じ』

「………」

確かに、親友の百合に言われた通りだった……。コンビニで会った人の事がずっと気がかりだったし。

「コンビニで初めて声かけられたんだ……でも不良とも言えなくてどことなく悲しそうな顔だった」

『悲しそうな顔?』

「うん、真っ暗な部屋に居るような感じ」

『その人が気になるの?』

「うん……自分と同じような経験してそうだったもん」

『ふーん……また会ったら話してみれば良いじゃん』

「そう……だね」

また会えるなら会話してみたいと思った。ただそれだけ、恋愛なんて言葉じゃ伝えられないくらい悲しそうだった。
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