イジワルな先輩との甘い事情
「もう、終わりにしたいです……」
感情をそのまま声にして許されるなら、好きだって離れたくないって叫べばいいのに。
なんでさよならの言葉が出てきてしまうのかが、自分でも分からない。
なんで……? だって、私、終わりになんかしたくないのに。
まだまだ好きで、離れたくなんかないのに。
ずっと……一緒にいたかったのに――。
伝えたい言葉をいくら叫んだところで声にはならなくて……私の中に、先輩への想いだけがこれでもかってほどに木霊する。
願いの代わりに、耐えられないとばかりに零れ落ちたさよならの言葉に自分でも驚いて……そのまま先輩の部屋を飛び出した。
先輩がどんな顔していたかは、見られなかった。