偽りの自分。
だけど、すぐに美香と雫は笑顔になった。
『ミス、桜田なんかになんでかまうの?
今は、吉野さんがミスだよ?』
クラスメイトの女の子達が言う。
『えっ、友達だから。あと、“ミス”って呼ぶのやめてくれないかな?』
吉野が言った。
『...はっ?』
雫が、大きな声を出した。
男子達が女子全員を見つめる。
恥ずかしい。
あたしは、クラスの人気者だったわけで。
状況が把握できない。
何よ。
あたしがいじめのターゲットなんて。
『皆と仲良くなりたいから、
呼び捨てが良いんだ。
わがままでごめんね。絵理花って呼んで!』
吉野が可愛い笑顔を作る。
『オッケー、わかった!』
美香と雫が言ったと
同時に先生がやって来た。
『桜田、今日から
アンタはミスじゃないからね?
調子乗らないでよ?』
雫が小声でささやいた。
うっざ。
でもめげないし。
皆、バカじゃないの?
あたしは、ミス。
あんたらより身分は上。
どうなるか、分かってるよね?