偽りの自分。



放課後_____



『...吉野さん...美香たちと一緒にいなくて、
良かったの?』


あたしは駅までの道のりを吉野さんと歩く。



さっき、
美香たちが『ドーナツ屋行こー』って
話してて。


でも、吉野さんは
『桜田さんと帰るから、ごめんね。』と
言っていたのだ。




『桜田さんが一人になっちゃうでしょ?
クラスのほとんどの女子で行くなんて、
お店側も迷惑だと思うし...。』


吉野さんが静かに言う。



『気をつかってるだけだよね?
あたしが一人になるのが
可哀想だからって....ごめん。』



『あ!言い方間違ってたね、ごめん。
あたしが.....桜田さんと...いたいから?』




その言葉に思わず黙り混んでしまう。




すると、吉野さんは顔を赤くしながら
『そう思ってるのはあたしだけかぁ~』と
笑った。



『いや...嬉しい...
そんなこと言われたことないから...。』



こっちも照れてしまう。




『桜田さんって、本気で笑えばもっと可愛いよ?作り笑いしか見たことないんだけど!』


吉野さんがブーブー文句を言う。


『アハハ』


『あ、笑った!ラッキー!
桜田さんの笑顔、レアだからね。笑』


吉野さんがはにかんだ笑顔を見せる。


凄い、可愛い....。


『じゃあ、あたしが乗る電車、まだまだ来る時間じゃないから、少し経ったらホームまで行こうかな。またね!』


吉野さんが言った。



『そっか。また明日ね!』



あたしは笑顔で言って、
駅の中へと走って行った。
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