偽りの自分。
絵理花の危機。












電車のアナウンスが聴こえて、少しすると
電車のドアが開いた。


急ぎ気味に降りて、
駅を出ていき、美香の家まで続く
道を走る。



大体、あたしのこといじめてるくせに、
なんの用がある訳?



美香の家は駅の近くにあるから、
すぐに着いた。




美香の家の
インターホンを押そうとしたとき、

突然家から美香が出てきて、
あたしの袖をつかんで
家へ入れた。


無理やり入れたといっても良いくらい。



『えっ美香なに…』





『良いから!』


美香の家には、
中学のときに行ったことがある。



その時点であたしは美香のことなんか
友達って思ってなかったけど。



そんなことを思っている間に、
美香の部屋へ着いた。   



中には、雫、美鈴、優花がいた。


そして、美香の部屋は、
ピンクのカーテン、ピンクの机、
ピンクのベッドなどピンクで囲まれていた。


『ミス、来たんだねっ!』


え、ミス?


『ミ、ミスって....』


あたしが言うと、
ベッドの上に座っていた優花は、

『え、ミスでしょ?どうしたの?』と
言った。



何が起きてるの?

あたしのこと、
名字で呼び捨てにしてたよね?

悪口言ってたよね?


いきなり、意味わかんないんだけど。



『あたしのこと、悪口言ってたくせに
いきなりミスって....』



『あぁ。あれはごめんね。
吉野よりやっぱり、ミスの方が良いし。』


美香が椅子に座りながら言った。



『...はっ!?よ、吉野って...』

あたしが驚いて、大きな声を出す。


何言ってるの?



皆、吉野さんのこと“ミス”とか“絵理花”って
呼んでたじゃん!
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