偽りの自分。
『まぁまぁ、適当に座わって。』
美香が言うので、床に座った。
『あの...いきなり何?』
あたしは、部屋にいる皆を見渡しながら言った。
『吉野、調子に乗ってる。』
ソファに座る雫が無表情で言う。
『カイト君にぶりっ子しちゃってさ~、
本当、イライラする。』
ポテトチップスを方張りながら、
美鈴が言った。
カイトにぶりっ子.....?
『カイト君の好きな人は、吉野でしょ。
吉野、彼氏いるくせに二股かよって感じ。
あとあたしたちのこと、見下してるよね。』
優花がソファで
スマホをいじりながら言った。
二股.....?
カイトの好きな人は吉野さん.....?
『これで分かったでしょ?吉野なんか、
最低な奴なんだよ。ミス、目覚めた?』
美香があたしの顔を見て言う。
『何それ....吉野さんが....?』
根拠はないのに
吉野さんの今までの態度が表面だけな気がしてきた。
吉野さんは、カイトを奪った。
吉野さんはぶりっ子。
吉野さんは二股してる。
吉野さんは最低な奴.....。
『フッ……』
思わず一人で笑ってしまった。
『吉野なんか、最低な奴だね。
目が覚めた。』
『でしょー?』
皆が言う。
また、ミスになれた。
目が覚めた。
吉野は最低な奴。
だけど....罪悪感があるのはどうしてだろう。