偽りの自分。
カイトたちはあたしに気づくと、
すぐに手を離した。
ほら、隠してるじゃん。
泣きたくなってきた...。
『桜田さんっ。偶然だね!』
何事もなかったかのように、
吉野はこちらへ走って来る。
『....吉野、暗いし送って行こうか?
つっても、電車だけど笑』
カイトが吉野に笑いながら言う。
『ありがと!でも、大丈夫。』
吉野が、にこにこしながら言った。
『吉野...さん、なんでここにいるの?
他の市に住んでるよね?』
あたしが吉野に言った。
『...えっ、色々とあって....
き、気にしなくて良いよ!』
明らかに何か隠している。
隣にいるカイトもおどおどしているし....。
『...そうなんだ。早く帰れば?』
あたしが強い口調で吉野に言った。
言い過ぎた?
『....そうだね...帰る。
また明日ね。』
元気を無くした吉野は静かに言った。