偽りの自分。
いじめのターゲット。
あたしのお父さんとお母さんは
海外で仕事をしていて、帰ってくるのは
年に2回ほど。
だからあたしの家には家政婦が一人。
あたしの世話をしてくれる。
『星羅さん、おかえりなさい。』
家政婦の石田さんが、玄関までやって来た。
石田さんは、35歳くらいの女の人で、
お料理は凄く上手。
『...うん。』
『星羅さん、何かありましたか?』
石田さんはあたしを心配そうな表情で見つめる。
『なんでもない。お腹空いてないから、
なにも食べないから。』
それだけ言って、
自分の部屋がある二階に続く
階段を登って行った。
『星羅さん!』
石田さんに呼ばれても、無視して部屋へ入った。