偽りの自分。


『吉野、どう思ってるんだろうね?
ラインの悪口。』


美香はそう言いながら、
不気味な笑みを浮かべる。


こ、怖!  


頭どうかしてんじゃないの?


『う、うん。』


あたしは適当に返事をする。



吉野なんか、あたしは許してない。


だけど、美香がしていることの方が
酷いことのように思える。


『カイト君との関係も問い詰めよ。
ミスは、吉野にカイト君を取られたわけで、
それで良いわけないじゃん?』


美香は歩きながら言う。


『もちろん、良いわけないよ。
問い詰めるつもり。』


あたしが言ったのと
同時に校門の前まで来た。


たくさんの生徒が校門を抜けて行くので、
遅刻はしてなさそうだ。


あたしと美香は、靴箱までやって来て吉野の靴箱を見た。


上履きはまだあり、靴はない。



『まだ来てないね。』


横にいる美香がニヤリと笑う。


『うん。』


あたしは静かに言った。


そしてあたしたちは教室に向かって行った。
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