偽りの自分。
吉野が教室に入って来た。
明らかに暗い顔をしている。
きっとラインを見たんだ。
引き出しを開けて、吉野は驚いて手を引き抜いた。
『良い気味っ。』
あたしの横にいる美香たちからは、そんな声が聞こえる。
すると、吉野さんは自分の手で片付け始めた。
あんな汚いゴミに触れるなんて....
吉野が可哀想になってくる。
でも、罰だよ。
二股して、あたしのカイトを奪って、
ぶりっ子してて、
あたしたちのことを見下している罰。
自分をそう言い聞かせた。