偽りの自分。
『ミス、一時限目移動!行こー』
美香たちが教科書を持って、あたしの席に近づく。
『いいよー』
あたし、美香、雫、吉野以外は移動した。
まだ椅子に座っている吉野。
『吉野無視して移動しよ。』
雫がわざと聞こえるように言った。
『分かってるよ。あんな奴、構うわけないじゃん。』
美香が大きな声で言って、美香と雫は教室を出て行った。
ここであたしは無視して教室を出なきゃ行けないんだけど、
足が動かない。
寂しそうに椅子に座る吉野が可哀想な気がしてしまう。
『何やってんの?』
廊下から二人の声がする。
『な、なんでもない!』
あたしは走って教室を出て行った。