偽りの自分。


『...そうだったんだ...。』


あたしが静かに言った。


『勘違いだよ...だから、もういじめは止めてくれる....?』


吉野はあたしたちを見渡しながら言った。



すると、美香は『チッ』と舌打ちをしてから
口を開いた。


『別にあんたが二股してるって理由だけで
嫌がらせなんかしてねーよ。』


美香が強気な口調で言う。


皆の視線が美香に集まる。


美香ってあんな口調だったっけ?

怖いよ、美香。



『美香?どうしたの?』

雫が聞く。


『...完璧な人間がムカつくんだよ!』


美香は叫んだ。


完璧な人間がムカつく....?


『ミスの座にあたしもなりたくて...!
頑張ったのにやっぱりミスは、
あんた、桜田星羅!
しかも、転校生の吉野にも負けて...。』


美香は振り向いてあたしを指差した。


『高校入ってすぐに星羅がミスになって...。
あたし人見知りだし、中学で一緒なの星羅しかいないから星羅を頼ってたのに、
星羅がミスになって、ぼっちだったんだ。』


静かに美香は話す。
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