偽りの自分。


リビングのソファに座って、あたしは全てを話した。


あたしが友達と彼氏を自分の引き立て役だと
考えていたこと。


吉野さんがやって来て、ミスの座を奪われて
悔しかったこと。

いじめられていたときに、吉野さんに助けられたこと。


今は友達も彼氏も引き立て役だと思っていないこと。


ミスになれたけど、
吉野さんが今はいじめられているのに、
あたしは何もできないということ。


他にも、
吉野さんがいじめられている理由も言った。


『そんなことがあったんですね。
ごめんなさい、気づかなくて。』


石田さんが謝る。


『大丈夫。
それよりあたし、どうしたら良いかな?』


あたしは石田さんに聞く。


『...吉野さんは、星羅さんを助けてくれた。
なのに、星羅さんは吉野さんを助けないの?
吉野さんより、ミスという称号の方が大事?』


石田さんは真剣な表情で言う。


『ミスっていう称号もそうだけど...
美香たちも大切な友達だから...』


『だけど、美香さんたちは前に星羅さんをいじめていた。それに星羅さんにとって、吉野さんは友達じゃないの?』


『友達に決まってるじゃん!』


『じゃあ、正しいことをしましょ?
吉野さんを救ってあげることが
星羅さんのやるべきことだと思います。』


そう言い、石田さんは立ち上がってキッチンに向かう。


あたしのやるべきこと....。


『ねえ、石田さんが
悩んでいたことって何?』


すると、振り向いて

『星羅さんと似ていることですよ。』

石田さんは言った。
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