偽りの自分。




『えっ!ミス?何してんの?』


昼休み、中庭のベンチであたしと吉野さんがお弁当を食べていると、
美香、雫の二人が話しかけてきた。



『何って...見りゃわかるでしょ。
お弁当食べてんの。』


あたしが言うと、美香はあたしの横に座る
吉野さんのお弁当を取り上げた。



そして....




吉野さんの頭にぶっかけた。




え....?



美香....?



吉野さんの頭にはお弁当の具が散乱している。


吉野さんは絶望的な顔をして、黙り混んだ。


『あっ、ごめーん。
手すべちゃったー。』


美香はそう言い、回れ右をして校舎の方へと歩き始めた。



『美香!何やってんの!ごめん。』

さすがに雫はあたしたちに謝って、美香を追いかけていった。


『...吉野さん....大丈夫!?』


あたしは吉野さんに言う。


『....だ、大丈夫だから....桜田さんは心配しなくて...いい、よ....』


吉野さんは涙を袖で拭う。


『な、なんか...勝手に涙出てきたっ...』


笑いながら吉野さんは言うけれど、
吉野さんは悲しそうだった。


無理した笑顔だった。
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