偽りの自分。

美香、どうして気にしないの?



『それ...どうしたんだ?
いじめとか...?』


あたしと吉野さんは、空き教室に連れてこられて、
椅子に座っている。


『...実は__』

『桜田さん言わなくていいから!!』


あたしの言葉は、吉野さんに遮られた。


『どうして?なんで?』


あたしは、吉野さんに聞く。


『皆に心配とか、掛けたくないから...』


吉野さんはあたしに小声で言うと、




『先生、これはなんでもないです。
手が滑っちゃって!心配おかけしてすみません。』


笑いながら、先生に話した。



『本当か?なんでもないんだな?』


先生は真剣な顔で吉野さんを見つめる。


『はい!いじめなんて...』 


吉野さんは言うと、




『ある訳ないじゃないですか。』


と、静かに言った。


どうして隠すの?


心配って、誰に?


親とかかな....。


吉野さん、一人で抱え込まないで。
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