忌み子
[僕は元々、出来婚で産まれて、周りからの印象は悪かった
親もそのことで喧嘩し、『忌み子』と呼ばれた。
毎日暴言を吐かれ、暴力を振るわれ
それでも無言で耐える。いつしか痛いことも忘れてしまった
別に辛いわけではない。悲しいわけでもない。
耐えれば済む話。これが僕の考えだった、
第一、僕より辛い人は五万といる。
そう思えば、僕はまだ報われていると思えたんだ。
そうなんだろ?山野 彩香]

部屋でケータイを弄り、その文章を打ち終えると
僕は制服を着て、学校へ行く準備をした。
時計を見れば8:04。
まだ余裕があったから、もう一度ケータイを開き、
音楽アプリを開く。

『〜♪』

欝曲と呼ばれる曲を聞きながらカッターを出し入れする。
この『チキチキ』となる音が大好きだった。
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