君はあたしの天然王子
姉ちゃんは一瞬戸惑ったオレを見逃さなかった。
「何かあったの?ケンカ?」
「別に…」
明らかに態度がおかしいオレを姉ちゃんは じっと見る。
「まぁ…全ては自分の気持ち次第でしょ?最終的に決めるのは自分なんだから。」
「でも…自分の気持ちばっかり考えてたら…誰かを傷つけることになるじゃん」
姉ちゃんはフーっと息をはいた。
「バカだなぁ。恋なんかね、誰か1人くらいは傷つけなきゃいけない時だってあるの。自分にウソは付けないじゃない?
そういうのが恋なんだから…誰かが傷つくからって、その想いを諦めたら、そこで終わりよ?
それに、尚陽がちゃんと自分の気持ちに正直にならないと、それが原因で誰かが傷付くことだってあるのよ。アンタは、そっちの方が嫌なんじゃない?」
「姉ちゃん…」
「だから!尚陽が誰のことを好きだか知らないけど…自分にウソだけは付かない!分かった?」
「う…うん」
そう言って姉ちゃんは、自分のマンションへと帰っていった。